大日本帝国地券証
こんなものがアルバムの間から見つかった
ご先祖様は相続手続きを怠ったのだろうか?
だとしたら、今頃は相続人が100人、200人となっていて
手続きが煩雑になってしまう
地券を持っていたがために、その責任を負わされるのかと肝を冷やした
が
今時、この地券証はヤフオクで一枚1000円程度で取引されている
アンティーク好きにはたまらないかもしれないが
さもなければ、ただの紙切れ
そんな紙切れから想像の翼は広がる
その住所は昔繁盛していた宿場町
祖父の父親が宿屋を営んでいたという微かな記憶と一致した
幼くして丁稚奉公に上がり、必死で働いて番頭になった祖父
母親の遺骨を分骨して持ち歩いていた
不要になった地券証をアルバムに挟んだ
縁の薄かった生家への思いが
他人の目には単なる一枚の紙切れにしみ込んでいた
丁稚奉公といって、イマドキ誰が理解するだろうか
遅くても12~3歳で親元を離れ
以後は奉公先が絶対的な存在になる
独立して経営者になった祖父だが
彼は死ぬまで気持ちは番頭のままだった
滑稽なまでに哀しい番頭根性をバカにしていた私だが
その心の奥底には、生家への思いが仕舞われていたのだと思い知らされた
そんな理不尽さを押し殺し、自分の中で消化する
これが「大人」というものだと
祖父を再評価
もしかすると、商才、人間性、いずれも長けた人だったのかもしれない